バスによる珍騒動の余韻もやや冷めた頃、次の場所、景徳鎮陶磁器館に着いた。
ここは順路が複雑かつ狭い階段に上下に結構移動した記憶があり、障害者にあんまりよろしく無い。階段狭いし。建物は結構古そうだな…。面白い形の磁器が多く、時間もあったので陳列されていた香炉をノートに描く。
相変わらず漢字の表記に関する日中の違いは、博物館であっても容赦なく襲い掛かってくる。「珍品陳列」と書いてあると、なんとなくアダルトショップのディスプレイを頭に思い浮かべちまうZE!あと、男ガイド(ここではちゃんとしたガイドみたいだった)の話によると、明の宝徳時代ではコオロギの値段が高かったそうです。当時はコオロギのリーリーなく声が大ブームで、陶器で出来た虫かごに入れてその音を楽しんだそうです。コオロギの絵が描かれた、表面に穴が開いている陶器がありました。
上階には売店らしき場所があり、(ミュージアムショップみたいな物)そこで私は中国仕女書技法という本をかった。要するに絵の技法書。あまり学科に関係ないですが、このHPの他の部分を見ると良く判るとおり、これは趣味で買いました。要するに中国伝統画風・萌え美女画の描き方が細かく載っている本ですね。犬も歩けば棒に当たるとは昔の人は良く言ったものです。我ながら運よく偶然に見つけたもんです。値段は日本円で300円位。顔の描き方は引目鉤鼻(平安時代の美人みたいなもの。)の為まったく役に立たないですが、顔や手の描き方の他、アクセサリーやポーズのつけ方・服の流れのパターンなど、一部には描き順まで添えられて丁寧に描かれている為、何らかの役に立つ日が来る気がする。ちなみに未だに役に立っていない。後日行った上海博物館でも私は花の描き方の本を買った。こちらは牡丹を描くときに参考にしたりして、役に立っているのですが…。
次は景徳鎮古窯工場に見学に行った。
ここでは古い磁器の模造品を作っている。模造品と聞いてパクリ商品が頭を掠めた方、安心してください。ここはそういう意味では至極まともでした。工場の中を一通り回らせて貰う。工程ごとに部屋が分かれていて、日本の工場と同じ感じ。この旅行にハプニングを期待している私としてはちょっとガッカリ。
最後に磁器が売っている建物に入った。見学の最後に物を買わせようとする魂胆である。だが、ぶっちゃけ磁器の表面に描いてある絵は残念ながら余りうまくない。磁器が安い為(中国だから)最初は目を輝かせていた皆も、20分程後には最初の感動も薄れていき、手に取ったものを最後には棚に戻していました。更に未だ日程の半分である四日目だからなあ…。工場の人、日本人が来ると聞いて沢山物を買ってくれると踏んだのでしょうが、残念、来たのは格安料金で来たビンボ学生。工場の人の輝いた目が、最後にはショックからか、死んだ魚の目の様になってました。可哀相に…。
店内を巡っている時、奥のほうに水を張った磁器がありました。なんだろうと思っていると、工場の人が磁器のへりをこすりました、すると綺麗な音が。磁器を叩いた際、澄んだ綺麗な音が出るのは知っていましたが、水を張った磁器がこんな音を出すとは知りませんでした。そういやワイングラスでも同じような現象が起きるな…。うねるような神秘的な音。後から思い起こせば、このグッチャグチャの旅の中で唯一聴いた安らぎの音でした。・゚・(ノД`)・゚・。しばし聞き入った後、カッコいいのでさっそく自分も挑戦。手を水でぬらし、磁器のへりをこする。つるつる手をまわすが一向に音がならない。どうやらコツがいるよう。今度は少し力を入れてこすった所、かすかに音を出すことが出来た。続けて鳴らしていると、音が段々と互いに共鳴していき、先ほどのような神秘的な音になった。
次は日程に入っていないところを回った。どんな名前かは失念と言うか、たぶん聞いていませんでした。時間が大量に余ったのが回った理由だったかな?なにか塔みたいで中にたくさん陶磁器があり、ここで確か私は磁器の模様を写し取っていた。ノートを見たらたくさん磁器の模様が描いてあるから間違いない・・・(と思う)。